
代表取締役会長執行役員
平本 忠インタビュー
自身の社長時代を振り返って
- Q.社長交代を機に会長に就任されましたが、自身の社長時代を振り返っていかがですか?
- 平本:私が社長の任に就いたのは2017年の6月で、7年間代表取締役社長を務めましたが、その期間の業績は外部要因に大きく左右されました。2019年10月には消費増税があり、その駆け込みと反動減があったのもつかの間、その後だれも予想だにしなかったコロナ禍となりました。当社は、コロナ禍の巣ごもり需要の恩恵を非常に大きく受けました。加えて急速に広がったテレワーク需要、そして政府からの特別定額給付金の追い風もあり図らずも2021年3月期に過去最高益を出すことになりました。しかしアフターコロナでは、最高益の反動減や、旅行などのコト消費活況、物価高により生活防衛意識が高まるなどして、家電への消費マインドの低下や買い替えサイクルの長期化がおきました。そういったことから最高益後は減益となりましたが、その中にあっても私の考えはブレることはありませんでした。減益になりそうだから「もっと売れるだろ、もっとがんばれ」という号令は出したことはありません。私がコロナ禍においても守り続けてきたことは、“従業員を一番に大切にする”ということでした。具体的には、店舗の営業時間の短縮や臨時休業もそれぞれの店長判断できるようにしましたし、ワクチン接種を希望する場合の特別休暇制度も設けました。2021年3月期にはおよそ50億円規模となる特別手当も支給しました。とにかく、コロナ禍での従業員のストレスと負担を少しでも軽減し、感染予防としてできうる限りのことをしようとを考えたのです。それは今振り返っても間違っていなかったと誇れることだと思います。また、コロナ禍を通して得たものもありました。多くの店舗で長期間の臨時休業を余儀なくされるかもしれないという事態に直面したとき、お客様は冷蔵庫が壊れたままで1ヶ月間過ごせるだろうか、暑い中エアコンが壊れたら熱中症になってしまうのではないか、そう考えたときに私たちが営んでいる家電量販店は、もはや社会生活を支えるインフラなのだと再認識させられたのです。災害時もそうですが、従業員も同じように使命感をもってお店を運営してくれていると思います。
これからも出店は続けます
- Q.会長に就任されましたが、これからの取り組み事項を教えてください。
- 平本:店舗開発の分野についてはこれからも見ていきたいと思っています。これまで当社は年間30店舗オープンという目標を掲げていましたが、『中期経営計画2027』※2では、3年間(2025.3期~2027.3期)で30店舗という計画にいたしました。出店コストが高止まりしている状況に鑑み、無理のない範囲の出店ペースにしていきます。しかし、消極的な姿勢になったわけではありません。出店コストが今後低下するということはあまり考えられません。高止まりしている出店コストに見合うフォーマットを再構築して、出店ペースを上げていく方法は常に模索していきます。また、コロナ禍にできなかった店舗の改装は積極的に行っていきます。またコロナ禍にオープンした店舗ではオープン販促活動などを自粛していましたので、そういったところの販促活動にも再度注力して既存店効率の再点検をしていきます。
(2024年5月9日公表 中期経営計画2027より一部抜粋)
これからも従業員が楽しく安心して働ける会社でありたい
平本:当社の経営方針である“がんばらない経営”は、今でいうところの“サステナビリティ経営”なのだと思います。私たちの会社は、事業を通じて、私たちを取り巻くステークホルダーの皆様との「わ」(和・輪)を広げ、大きな社会貢献につなげることをパーパス(存在意義)とし、それを実現するためにこそ従業員を一番に大切にしてきました。今、私たちの身の回りでは、人口減少や環境問題、IT化など様々な社会変革が起きています。しかし、これからも将来にわたって従業員が楽しく安心して働くことができる会社を作ることを目指していけば、道を誤ることはないはずです。
当社は今後とも安定した財務資本をもとに出店を続け、従業員の接客力を人的資本として投入することで、これからも利益を創出していくことができると思っています。そしてそこで得た利益をステークホルダーの皆様に配分し、次の成長につなげていく。この確信があるからこそ、『中期経営計画2027』※3では、キャッシュアロケーションを明示し、総還元性向80%、連結配当性向40%という還元目標を示させていただいております。当社はこの目標に向かって、これからも“がんばる”ことなく従業員を大切にしていきます。
(2024年5月9日公表 中期経営計画2027より一部抜粋)
自分の子供に入社を勧められる、そんな会社であり続けてほしい
平本:最後に、皆さんにお伝えしたいエピソードがあります。当社で働いている従業員が自分の子供にもケーズデンキへの入社を勧めてくれているのです。内定式や入社式の折、“実は○の息子です、娘です”といったことが何度もありました。本当に心から良い会社だと思っていなければ、自分の子供に入社を勧めたりはしないはずです。親が子供にケーズデンキを勧めて、また子もそれを信じて我々の仲間になってくれる。こんな素晴らしいことはないと思いますし、私にとってもこれ以上に嬉しいことはありません。私は、これからもずっとそんな会社であり続けてほしいと思っています。私は、奇しくも箱根駅伝第100回大会の年に社長のタスキを渡しました。これは一生忘れないでしょう。ケーズデンキ100周年に向けて、これからも元気に走り続けて次の走者にタスキを渡してほしい。それが私の願いです。